1. スポーツマウスピースとは?

スポーツマウスピースの基本的な役割
スポーツマウスピース(スポーツマウスガード)は、主に激しい接触や衝撃を伴うスポーツにおいて、選手の歯、顎、口腔内の保護を目的とした専用の器具です。これにより、口腔内のケガや顎の骨折、歯の欠損、切創などのリスクを減らすことができます。
マウスピースは、歯科医学とスポーツ医学が融合した製品であり、スポーツの種類や競技特性に応じて異なる設計が求められます。フィット感や耐久性はもちろん、口内の健康を守り、パフォーマンス向上にも寄与します。
なぜアスリートにとって重要なのか
アスリートがスポーツマウスピースを装着する最大の理由は、口腔や顎への外部衝撃から身を守ることです。競技中の接触や転倒、強い打撃が加わることで、以下のようなリスクが生じます。
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歯の破折や脱落
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顎の骨折
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顎関節の損傷(顎関節症)
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唇や頬、舌の裂傷
これらのリスクを軽減するために、マウスピースは衝撃吸収と安定したフィット感を提供します。
2. マウスピースの効果と必要性

歯や顎の保護
スポーツ中に口元を打たれることによる最も深刻な損傷は、歯の破折や脱落です。歯は非常に脆く、衝撃を直接受けると簡単に割れたり、欠けたりします。また、顎の骨折や顎関節の障害も問題となります。スポーツマウスピースは、これらのダメージを防ぐために、歯列全体を包み込み、衝撃を分散します。
脳震盪のリスク軽減
近年の研究では、顎と脳震盪の関係が注目されています。顎への強い衝撃が脳に伝わることで、脳震盪が引き起こされる可能性があります。スポーツマウスピースは、顎を固定することで頭部への衝撃伝達を緩和し、脳震盪のリスクを軽減する効果があります。特に、ラグビーやアメリカンフットボールなど、頭部への衝撃が多い競技では、この効果が重要です。
パフォーマンス向上の可能性
スポーツマウスピースの装着は、心理的安定感を提供するため、アスリートの集中力や自信に好影響を与えることが知られています。守られているという安心感は、競技における精神的なパフォーマンス向上に寄与します。また、筋肉のリラックス効果を促進することから、体の緊張をほぐし、動きやすさが増します。
3. 競技別マウスピースの特徴と違い

ボクシング・格闘技用のマウスピース
ボクシングや格闘技では、顔面への衝撃が多く、口元へのダメージも非常に大きいため、特に強力な保護が必要です。これらのスポーツ用マウスピースは、ダブルアーチ型(上下の歯を完全にカバーするタイプ)であることが多く、厚みがあり、強い衝撃吸収性を持っています。こうした設計により、歯だけでなく、顎の骨や関節へのダメージも最小限に抑えることができます。
ラグビー・アメフト用のマウスピース
ラグビーやアメリカンフットボールなどの接触型スポーツでは、選手同士の衝突やタックルが多いため、頑丈で安定感のあるマウスピースが必須です。これらの競技では、ダブルアーチ型が一般的で、硬めの素材(EVAなど)が使われ、強い衝撃に耐える設計になっています。
バスケットボール・サッカー・野球など非接触競技用のマウスピース
非接触型競技でも、転倒や不意の接触による口元の怪我を防ぐために、軽量で薄型のマウスピースが推奨されます。これらは通常、シングルアーチ型で、呼吸や発声を妨げないよう設計されています。
その他(ホッケー・空手・柔道など)
4. スポーツ別:おすすめのマウスピースの形状

シングルアーチとダブルアーチの違い
競技ごとの適した形状とその理由
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ボクシング・格闘技:ダブルアーチ型(衝撃の強さに対応するため)
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ラグビー・アメフト:ダブルアーチ型(安定感と耐久性を重視)
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バスケ・サッカー・野球:シングルアーチ型(軽量さと動きやすさを重視)
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空手・柔道:シングルアーチ型(発声や呼吸を妨げない)
カスタムメイド vs 市販品の選び方
5. マウスピースの素材と選び方のポイント

EVA・シリコン・熱可塑性樹脂の違い
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EVA(エチレン酢酸ビニル):一般的に使用される素材で、軽量で柔軟性があり、衝撃吸収性にも優れています。ボイル&バイトタイプの市販品によく使われます。
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シリコン:耐熱性と耐久性に優れ、特にカスタムメイドのマウスピースに使用されます。硬さやフィット感の調整が可能で、長期間の使用にも耐えます。
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熱可塑性樹脂:熱を加えると柔軟になり、型を取ることができるため、カスタムメイドや成形型市販品でよく使用されます。耐久性が高く、比較的高価格です。
安全性・耐久性・フィット感で比較
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安全性:素材の生体適合性が重要で、特にシリコンやEVAなどは人体に優しいとされています。
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耐久性:EVAはやや劣化しやすいが軽く、シリコンや熱可塑性樹脂は非常に耐久性が高いです。
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フィット感:カスタムメイドの方が個別の歯列にフィットしやすいですが、市販品でもボイル&バイトタイプで適切に成形すれば十分なフィット感を得ることができます。
子ども・学生向けの注意点
子どもや学生の場合、特に成長期にあるため、歯列が変化することを考慮して、頻繁な交換が必要です。市販のボイル&バイトタイプや成形可能な市販品が便利で、コスト面でも優れています。
6. 競技者の声:実際に使って感じたメリット・デメリット

競技者インタビュー・レビュー事例(仮想)
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ボクサー(20代男性):「カスタムメイドのマウスピースを使ってから、顎の負担が軽減され、長時間のスパーリングでも疲れにくくなった。衝撃が減少し、集中力も維持できる。」
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ラグビー選手(高校生):「最初は少し発声がしにくかったが、慣れるとフィット感が抜群で外れることもなく、試合に集中できた。」
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バスケ選手(大学生女性):「軽くて薄いシングルアーチ型は全く違和感がなく、呼吸もスムーズにでき、試合中も快適に過ごせた。」
7. 歯科医院で作る?市販で買う?マウスピースの選択肢
オーダーメイド(歯科)のメリット・デメリット
メリット
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完全なフィット感と優れた衝撃吸収性
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長期使用にも耐える耐久性
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カスタマイズされたデザインで最大限の保護を提供
デメリット
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価格が高額(1万〜3万円程度)
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作成に時間がかかる(数週間)
市販品の人気商品比較
ボイル&バイト成形式
コストと性能のバランス
コストパフォーマンスを考慮した場合、市販の成形型が初めての使用者や試合ごとの交換にはおすすめですが、競技者によっては、オーダーメイドでの購入も価値があります。
8. よくある質問(FAQ)

Q1. 何歳から使用可能ですか?
子ども向けマウスピースは、5歳以上での使用が可能ですが、成長に応じてサイズや形状を調整することが重要です。
Q2. どれくらいで交換が必要ですか?
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カスタムメイド:おおよそ1〜2年ごとに調整が必要
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市販品:半年〜1年ごとに交換が推奨されます。
Q3. 喋りにくい場合、どうしたらいいですか?
薄型のシングルアーチ型を選ぶことで、発声や呼吸の問題を最小限に抑えることができます。また、カスタムメイドでは発声スペースを調整することも可能です。
9. まとめ:競技に合わせた最適なマウスピースを選ぼう

スポーツマウスピースは競技別のニーズに応じて選ぶことが最も重要です。安定した保護を提供するダブルアーチ型や、軽量で快適なシングルアーチ型の選択肢を、競技の特性や個々の要望に合わせて選定しましょう。
スポーツマウスピースのことなら、名古屋市天白区の歯医者・歯科・スポーツマウスガードのイナグマ歯科までご相談ください。
監修 岡山大学 歯学博士 厚生労働省認定 歯科医師臨床研修医指導医 稲熊尚広
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