舌が赤く痛くなる
舌の痛みの中には、舌の赤みをともなうものがあります。
中年以降の女性に多く、口の中が乾燥したり、やけどの後のようなヒリヒリとした痛みやピリピリする痛みともなうこともあります。このような赤みや痛みのある症状の場合には、さまざまな病気が考えられます。
鉄分が足りずに貧血になる鉄欠乏性貧血でこうした症状が起こります。鉄欠乏性貧血の場合は、同時に口角のびらんや、爪が反り返る匙状爪といった症状が見られることもあり、それらが一緒にあるような場合は鉄欠乏性貧血です。
ハンター舌炎はビタミンB12や葉酸が足りなくなることで生じ、似たような症状をともなうことがあります。
口腔カンジダ症でも舌が赤くなり痛みを生じるケースが多く見られます。これはカンジダ菌が原因で起こる炎症です。カンジダ菌は、健康な人でも多くが口の中に持っている口腔常在菌で、ふだんは免疫の力で抑えられていますが、疲労や体調不良などで免疫力が落ちると菌の繁殖を抑えることができずに、炎症を起こしてしまいます。高齢者や、口の中の清掃がうまくできていないとかかりやすくなります。灼熱感とともに、触れるだけで痛みやあり刺激痛もあります。
カンジダ症の治療には、抗真菌薬を使います。うがい薬や塗り薬、あるいは内服薬を使うことで対処します。また、安静にしてしっかりと体力を回復し、口の中を清潔に保つようにすれば治っていきます。
カンジダ症では、口内炎の治療で使うステロイド軟こうは決して使わないようにしましょう。
カンジダ症には、赤みが生じる場合以外にも、白い苔状のものが舌や口の中の粘膜に広がり痛くなるケースもあります。
口腔扁平苔癬では、舌や口の中の粘膜が白みがかったレース状になり、ピリピリする痛みをともなう場合があります。香辛料に強い刺激を感じ、カレーやキムチが辛くて食べられない、といったケースでは、口腔扁平苔癬の疑いがあります。40歳以上の女性に発症しやすいと言われます。決まった治療法はなく、症状に合わせて対処療法をしていく必要があります。
舌の痛みを生じさせる原因のひとつに、口の中の乾燥があります。この口腔乾燥症による舌の痛みは、さまざまなケースを想定する必要があります。
糖尿病やシェーグレン症候群のように口が渇きやすく、唾液の分泌の低下をもたらす病気が舌の痛みの原因になることもあります。また、加齢や薬の内服によっても唾液の量が減って口の中が乾燥してしまい、舌に痛みを感じることもあります。また、唾液の量が減ると口腔カンジダ症になりやすいことも知られていて、そのことで舌の痛みが生じている可能性もあります。口腔乾燥症は、鼻が詰まっていたりして口呼吸になっていることで生じる場合もあります。