舌にできた口腔がんを切除したときのデメリットと機能障害|完全ガイド

名古屋市天白区の歯医者・歯科・口腔外科「イナグマ歯科」です。院長 岡山大学 歯学博士 厚生労働省認定 歯科医師臨床研修医指導医 稲熊尚広
「舌の違和感」「口内炎が治らない」「発音しづらい」——それ、舌がんの初期症状かもしれません。
口腔がんは、早期発見で治療効果が大きく変わる疾患です。とくに舌がんは、口腔がんの中でも発症率が高く、舌の側縁部にできる硬いしこりや潰瘍が代表的な兆候です。初期段階では痛みが少なく、口内炎と見分けがつきにくいため、「2週間以上治らない口内炎」は要注意です。
名古屋市天白区の歯科口腔外科「イナグマ歯科」では、岡山大学 歯学博士・厚生労働省認定 歯科医師臨床研修医指導医である稲熊尚広院長が、舌がんを含む口腔がんの検診・診断・切除手術・再建・リハビリまで、専門的かつ包括的な医療体制で対応しています。
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舌がんの不安を感じている方、術後の生活に備えたい方、再発予防に取り組みたい方へ——
このブログが、正しい知識と安心につながる第一歩となることを願っています。
目次
1. 【口腔がんとは?】舌に発症する口腔がんの基礎知識
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舌がんと口腔がんの違い
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舌がんの主な原因とリスク因子(喫煙、飲酒、ウイルスなど)
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初期症状と見逃しやすい兆候
2. 舌がんの治療法|切除術(手術)の種類と適応
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舌部分切除術とは?
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舌半切除・全摘出手術について
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放射線治療・化学療法との違いと併用の有無
3. 舌の切除による主なデメリットと後遺症とは
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外見の変化(見た目への影響)
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話す・飲む・食べる機能への影響
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味覚や知覚の変化
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精神的ストレスや社会生活への影響
4. 【切除後の機能障害】日常生活に現れる具体的な障害
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発音障害(構音障害):「さ行」「た行」などが話しにくくなる
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嚥下障害(飲み込みにくさ)と誤嚥リスク
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食事制限と栄養管理の必要性
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唾液分泌や乾燥感の変化
5. 舌の再建術とリハビリ|機能回復の可能性と限界
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再建術の種類(前腕皮弁・大腿皮弁など)
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言語療法士によるリハビリ内容
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嚥下リハビリ・発音練習の具体例
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機能回復にかかる期間と注意点
6. 舌がん切除後の生活上の注意点と支援制度
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食事・会話・仕事復帰への対応
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医療費の助成・障害者手帳・就労支援など
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家族・周囲のサポートの重要性
7. 舌がんの再発防止と術後の経過観察
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術後の再発率と検診の頻度
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健康管理と生活習慣の見直し
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喫煙・飲酒との関係
8. 【まとめ】舌がん切除手術と向き合うために大切なこと
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情報収集と早期発見の重要性
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主治医・専門医との連携
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自分らしい生活を取り戻すための心構え
1. 【口腔がんとは?】舌に発症する口腔がんの基礎知識
・舌がんと口腔がんの違い
口腔がんとは、口の中の組織に発生するがんの総称で、舌・頬粘膜・歯肉・口底にできるものを含みます。その中でも「舌がん」は、舌に発症するがんのことで、口腔がんの中で最も頻度が高く、全口腔がんの約40〜50%を占めます。
・舌がんの主な原因とリスク因子(喫煙、飲酒、ウイルスなど)
舌がんの発症には複数の要因が関与します。とくにリスクが高まるのは:
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喫煙:タバコに含まれる発がん物質による直接刺激
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過度の飲酒:アルコールが粘膜を荒らし、発がん作用を促進
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HPV(ヒトパピローマウイルス):性交渉による口腔感染が増加傾向
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慢性的な粘膜刺激:歯の不良なかぶせ、合わない入れ歯によるこすれ
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高齢:加齢による細胞修復力の低下
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・初期症状と見逃しやすい兆候
早期の舌がんは自覚しづらく、症状が進行してから発見されることも多いのが実情です。代表的な初期症状としては:
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舌の一部が白っぽく(白板症)、または**赤く(紅板症)**なっている
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小さなしこりやただれがある
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出血、痛み、違和感が続く
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食べ物がしみる、痛くて噛めない
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10日以上続く症状があれば、早めに口腔外科など受診を。
2. 舌がんの治療法|切除術(手術)の種類と適応
・舌部分切除術とは?
早期がん(T1期など)で選択されるのが舌部分切除術です。がん部分と周囲に十分な**マージン(正常組織との境界)**を含め切除し、機能を温存しながら治療を行います。
・舌半切除・全摘出手術について
進行した舌がん(T2期以上)には、切除範囲が広がります:
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舌半切除術:舌の半分を切除
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舌全摘出術:舌全体を切除(後に再建が必要)
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切除範囲が大きくなると機能低下のリスクが高まります。
・放射線治療・化学療法との違いと併用の有無
手術後は再発リスクに応じて、以下の治療が追加されることがあります:
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放射線治療:局所への照射、主に中〜進行期に併用
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化学療法:抗がん剤投与、放射線との併用化学放射線療法も
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手術だけで対応できる場合もありますが、術後に包括的治療が必要なケースが増えています。
3. 舌の切除による主なデメリットと後遺症とは
・外見の変化(見た目への影響)
舌の一部または全体が切除されることで、口元の形が変化し、顔貌が変わることもあります。再建手術で補いますが、左右非対称になることがあります。
・話す・飲む・食べる機能への影響
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構音障害:特に「さ行」「た行」「ら行」など、舌を使う音が不明瞭に
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嚥下障害:飲み込みが困難になり、誤嚥(むせ・肺炎)のリスク
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・味覚や知覚の変化
舌の味蕾が減少すると、味の感覚が鈍くなる・消失することがあり、食事の楽しみが減ることも。
・精神的ストレスや社会生活への影響
容貌の変化や会話困難は、自信の喪失や引きこもりを引き起こす要因になりえます。周囲の理解とケアが重要です。
4. 【切除後の機能障害】日常生活に現れる具体的な障害
・発音障害(構音障害):「さ行」「た行」などが話しにくくなる
舌の位置を調整して発音する「さ行」「た行」は、舌が無い・短くなっていると言葉がはっきりしないことが多くなります。
・嚥下障害(飲み込みにくさ)と誤嚥リスク
舌が食塊(しょっかい)を喉に送り込む働きが低下し、食道ではなく気管に入る誤嚥が起こりやすくなります。むせや食べ物が気道に入る危険性も。
・食事制限と栄養管理の必要性
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柔らかく細かく、ペースト状・刻み食への移行が必要です
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ケア栄養師と連携し、高カロリー・高栄養バランスの食品を摂取します
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経管栄養(胃に直接)、流動食の選択肢もあります
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・唾液分泌や乾燥感の変化
放射線治療を併用した場合は唾液腺が傷つき、口内乾燥(ドライマウス)や口内炎・虫歯のリスクが高まります。こまめな水分補給&保湿が大切です。
5. 舌の再建術とリハビリ|機能回復の可能性と限界
・再建術の種類(前腕皮弁・大腿皮弁など)
切除後の機能回復と見た目の改善を目的として再建術が行われます。
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前腕皮弁:細長い筋・皮膚を腕から切り取り、舌に再建
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大腿皮弁:太ももの皮膚・筋肉で形成
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遊離皮弁:血管をつないで移植する技術で、高度なマイクロサージェリーが必要
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・言語療法士によるリハビリ内容
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構音訓練:音に合わせ舌・唇・口腔筋肉を動かす練習
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嚥下訓練:呼吸と嚥下のタイミング調整や姿勢指導
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・嚥下リハビリ・発音練習の具体例
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飲み込み時にあいうえお体操を行い、舌や口内筋を鍛える
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ペットボトルの口にストローを通し、空気を吸って口輪筋を強化する訓練
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・機能回復にかかる期間と注意点
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リハビリは術後3〜6ヶ月が勝負
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個人差はありますが、1年~2年かけて少しずつ回復します
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無理をせず、定期的な専門医・言語聴覚士の評価が重要です
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6. 舌がん切除後の生活上の注意点と支援制度
・食事・会話・仕事復帰への対応
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食べやすい食材や調味料の工夫(ポタージュ、温かいスープ)
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ゆっくり・小さく口に入れる・座って食べる姿勢
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電話・メールなど代替手段を活用してコミュニケーション
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仕事復帰は職種や業務内容によって調整。法的制度では「障害者雇用助成金」などが利用可。
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・医療費の助成・障害者手帳・就労支援など
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舌切除手術はがん医療費助成制度の対象(高額療養費・限度額適用認定)
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機能障がいが残る場合は障害者手帳の申請が可能
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ハローワーク・地域包括支援センターで就労復帰への相談ができる
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・家族・周囲のサポートの重要性
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病気への理解、聞き取りやすい話し方での対応
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一緒に参加するリハビリ教室・患者会で心の支えを得られます
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食事準備や服薬・通院への同行など、支える体制づくりが鍵
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7. 舌がんの再発防止と術後の経過観察
・術後の再発率と検診の頻度
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再発リスクは術後2年以内が高く、3〜6ヶ月ごとの診察と画像検査が標準
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その後は半年~1年に1回の定期検診が推奨されます
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・健康管理と生活習慣の見直し
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禁煙・断酒は必須
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バランスの良い食事を摂り、口腔ケアも徹底
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定期的な運動とストレスケアを心がけましょう
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・喫煙・飲酒との関係
禁煙により術後再発リスクが最大30〜50%減少する研究もあります。再発防止には完璧な依存対策と排除が不可欠です。
8. 【まとめ】舌がん切除手術と向き合うために大切なこと
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情報収集と早期発見
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10日以上続く口腔の異変は無視せず、早めの受診を
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信頼できる医療機関・医師からの情報を得ましょう
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主治医・専門医との密な連携
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セカンドオピニオンの活用も含め、納得のいく治療方針を
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自身の要望・職業・ライフスタイルに合わせた 個別性のある治療計画が重要
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自分らしい生活を取り戻すための心構え