指しゃぶり、お子様の歯並びへの影響は?いつまでにやめるべき?

こんにちは、名古屋市天白区の小児歯科・歯医者・歯科のイナグマ歯科です。
指しゃぶり、お子様の歯並びへの影響は?いつまでにやめるべき?
はじめに:お子様の指しゃぶり、いつやめさせればいいか悩んでいませんか?
お子様が指しゃぶりをしている姿は、とてもかわいらしいものです。しかし、「このまま指しゃぶりを続けさせると、歯並びが悪くなるって本当?」「いつまでにやめさせればいいの?」といった疑問や不安をお持ちの親御様は多いのではないでしょうか。
指しゃぶりは、お子様にとって心の安定や発達に欠かせない行動の一つです。しかし、成長に伴い、その癖が歯並びや顎の発育に悪影響を及ぼすことがあります。本記事では、指しゃぶりが歯並びに与える影響、やめるべき時期、そしてやめさせるための具体的な方法について、名古屋市天白区の小児歯科専門医が詳しく解説します。
お子様の健やかな成長と美しい歯並びのために、ぜひ最後までお読みください。
1. なぜ指しゃぶりをするの?:指しゃぶりの生理的・心理的背景
指しゃぶりは、ほとんどの赤ちゃんに見られる自然な行動です。赤ちゃんは、お腹の中にいる時から指を吸う行為を始めると言われています。
指しゃぶりの役割
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安心感を得るため:赤ちゃんにとって、指を吸う行為は母乳を飲むことと関連しており、安心感や満足感を与えます。不安を感じた時や眠い時などに、指しゃぶりをすることで心を落ち着かせるセルフコントロールの役割を果たします。
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発達のサイン:口や指の感覚を使い、自分の体を認識する発達の段階でもあります。手と口の協調性を学び、外界を探索する手段の一つです。
このように、指しゃぶりは発達上、非常に重要な意味を持っています。無理にやめさせる必要はありません。しかし、年齢とともに徐々に減っていくのが一般的です。
2. 指しゃぶりを続けるとどうなる?:歯並びと顎への影響
指しゃぶりが習慣化し、長期間にわたって続くと、歯並びや顎の成長に様々な悪影響を及ぼす可能性があります。
a. 開咬(かいこう):前歯が閉じない状態
最もよく見られる影響が**「開咬(オープンバイト)」**です。指を吸う力が、前歯に継続的にかかることで、上の前歯が前に押し出され、下の前歯が内側に傾斜します。その結果、奥歯をかみ合わせても、前歯が閉じずに隙間ができてしまいます。
b. 上顎前突(じょうがくぜんとつ):出っ歯になる
指を吸う力が、上の歯や顎に前方への圧力をかけ続けることで、上の前歯が極端に前に突き出た**「上顎前突(出っ歯)」**になることがあります。見た目の問題だけでなく、口が閉じにくくなり、口呼吸の原因にもなります。
c. 歯列弓の変形:歯が並ぶ土台が狭くなる
指しゃぶりによって、上顎の幅が狭くなり、V字型に変形することがあります。その結果、永久歯が生えるスペースが不足し、歯がガタガタになってしまう**「叢生(そうせい)」**を引き起こす可能性が高まります。
d. 顎の発育不全
指しゃぶりは、舌の正しい位置にも影響を与えます。舌が下顎の成長を妨げたり、指を挟むことで舌の動きが制限されたりするため、顎全体の正常な成長を阻害することがあります。
これらの影響は、指しゃぶりの頻度、強さ、期間によって異なります。しかし、小学校に上がる頃まで指しゃぶりが続くと、歯並びへの悪影響が顕著になるケースが多いです。
3. 【結論】指しゃぶりは「3歳まで」が目安:やめさせるベストなタイミング
では、いつまでに指しゃぶりをやめさせるべきなのでしょうか?
多くの小児歯科専門医は、**「3歳まで」**を一つの目安としています。
なぜ3歳までなの?
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乳歯列が完成する時期:3歳頃までに乳歯が生え揃い、乳歯列が完成します。この時期までに指しゃぶりがなくなれば、自然と歯並びの乱れが改善されることが多いです。
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永久歯への影響を最小限に:3歳以降も指しゃぶりが続くと、顎の骨格や、これから生えてくる永久歯の位置にまで悪影響が及ぶ可能性が高まります。
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言葉の発達:3歳頃は、言葉の発達が著しい時期でもあります。開咬などによって発音に影響が出始めることもあります。
もちろん、お子様の個性や発達状況は一人ひとり異なります。もし、3歳を過ぎても指しゃぶりをやめられない場合でも、焦る必要はありません。大切なのは、お子様とのコミュニケーションを密にし、無理なくやめられる方法を探すことです。
4. 指しゃぶりをやめさせるための具体的な方法:親ができること
指しゃぶりを無理やりやめさせようとすると、お子様の心の負担になったり、かえって反発を招いたりすることがあります。以下に、お子様への負担を最小限に抑えながら、楽しく指しゃぶりをやめさせるためのヒントをご紹介します。
a. 心理的なアプローチ:お子様の不安に寄り添う
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褒めて、認める:「今日は指をしゃぶらなかったね!すごいね!」と、できたことを具体的に褒めてあげましょう。
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安心できる環境づくり:お子様が不安を感じる原因(環境の変化、兄弟姉妹の誕生など)がないか考え、一緒に遊んだり、スキンシップを増やしたりして安心感を与えましょう。
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指の代わりに口に運ぶものを準備:指の代わりに、お子様が安心できるお気に入りのぬいぐるみやタオルなどを与えるのも一つの方法です。
b. 行動的なアプローチ:習慣を変える工夫
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指にテープや絆創膏を貼る:指に何かを貼ることで、視覚的に「指しゃぶりはしない」ことを意識させます。
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苦い味のマニキュアを塗る:市販の指しゃぶり防止用の苦いマニキュアを塗る方法もあります。これは最終手段とし、お子様とよく話し合ってから使いましょう。
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「指の体操」で意識を向ける:指しゃぶりをしそうになったら、「指の体操をしよう!」と声をかけ、一緒に手遊びをするなどして、意識をそらす工夫も有効です。
c. 専門家への相談
どんな方法を試しても改善が見られない場合や、歯並びにすでに影響が出ている場合は、小児歯科医に相談することをお勧めします。イナグマ歯科では、お子様と親御様の状況を丁寧にヒアリングし、お子様の性格に合わせた無理のない治療・対策をご提案します。
5. 指しゃぶりをやめた後の歯並び:自然治癒と矯正治療
指しゃぶりをやめることができれば、乱れた歯並びは自然に治るのでしょうか?
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早期にやめれば、自然に治る可能性も:3歳までに指しゃぶりをやめられれば、顎や舌の正しい機能が回復し、開咬や出っ歯が自然に改善されるケースが多くあります。
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矯正治療が必要になるケースも:しかし、長期間にわたって続いた場合や、すでに顎の骨格に大きな影響が出ている場合は、指しゃぶりをやめても完全に元には戻らないことがあります。その際は、**小児矯正治療(一期治療)**が必要となります。
緩徐拡大装置(床矯正装置)による治療
もし、指しゃぶりによって歯並びや顎に影響が出てしまった場合は、**緩徐拡大装置(床矯正装置)**を用いた治療が効果的です。この装置は、取り外しが可能で、顎の成長を促し、永久歯が正しく並ぶためのスペースを確保します。お子様への負担も少なく、抜歯をせずに済む可能性が高まります。
6. 名古屋市天白区イナグマ歯科の小児歯科診療:お子様とご家族に寄り添う治療
名古屋市天白区のイナグマ歯科では、お子様が歯医者さんを嫌いにならないよう、楽しく通える工夫を凝らしています。
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お子様のペースに合わせた診療:お子様の不安を和らげるため、まずは歯科医院の雰囲気に慣れてもらうことから始めます。無理やり治療を進めることはありません。
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保護者様への丁寧な説明:お子様の口腔内の状況や治療計画を、分かりやすく丁寧に説明します。ご家族が納得した上で治療を進めることを大切にしています。
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小児矯正の専門知識:お子様の顎や歯の発育を熟知した歯科医師が、指しゃぶりによる歯並びの乱れや、その後の矯正治療について最適なアドバイスと治療を提供します。
まとめ:指しゃぶりのお悩みは、一人で抱え込まずに相談を
お子様の指しゃぶりは、決して悪いことではありません。しかし、時期を見極め、適切な対策を講じることが、将来の美しい歯並びと健康な口元を守るために重要です。
「もうすぐ3歳だけど、まだ指しゃぶりをしている…」「指しゃぶりのせいで歯並びが気になってきた…」と少しでも不安を感じたら、まずは名古屋市天白区のイナグマ歯科にご相談ください。お子様の成長段階に合わせたアドバイスや、もしもの際の小児矯正治療について、丁寧にサポートさせていただきます。
お子様の健やかな成長のために、私たちと一緒にできることから始めましょう。スタッフ一同、心よりお待ちしております。
【ご予約・お問い合わせ】 イナグマ歯科 〒468-0056 愛知県名古屋市天白区島田1丁目1114番地 電話番号:052-806-1181
監修:岡山大学 歯学博士 厚生労働省認定 歯科医師臨床研修医指導医 稲熊尚広