1. 唾石症とは?|まずは病気の基本を知ろう
2. 唾石症の原因|なぜ唾液の中に石ができるのか?
3. 唾石症の主な症状|初期症状から悪化した場合まで
4. 放置するとどうなる?|重症化のリスクと合併症
5. 唾石症はがんになるのか?|誤解されがちなリスクを正しく知る
6. 唾石症の検査方法|早期発見のためにできること
7. 唾石症の治療方法|自然排出から手術までの選択肢
8. 唾石症を予防するための生活習慣
9. まとめ|唾石症は早期発見と正しい対応が重要
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放置せずに専門医の受診を
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「がんになるかも」と不安になる前に
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正確な情報で冷静な判断を
✅ 1. 唾石症とは?|まずは病気の基本を知ろう

唾石症の定義と概要
唾石症(sialolithiasis)は、唾液腺またはその導管にカルシウムリン酸塩や炭酸カルシウムからなる結石(唾石)が形成され、唾液の排出を妨げる疾患です。唾石が完全に閉塞すると「食事時の唾液腺痛(ミールタイム症候群)」を引き起こします。結果、唾液腺の腫れや痛み、重度の場合には感染や膿瘍化に至る恐れがあります 。
どんな人に多い?性別・年齢・生活習慣との関係
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発症率は30〜60代の男性に多く、男女比は約2:1
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導管長が長く粘稠な唾液を分泌する顎下腺(Wharton管)に80〜90%の石が形成され、耳下腺に約10%、舌下腺・小唾液腺は1%未満
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唾液腺(耳下腺・顎下腺・舌下腺)の役割
唾液腺は消化補助(アミラーゼ分泌)や抗菌作用、口腔の保湿・pH調整などを司る重要な器官です。特に顎下腺は粘性とアルカリ性が強く、カルシウム結晶化しやすいため石の好発部位となります 。
✅ 2. 唾石症の原因|なぜ唾液の中に結石ができるのか?
唾液の性質と石ができるメカニズム
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唾液が脱水などで濃縮されると、カルシウムとリン酸が析出し、微小結晶(マイクロリス)が形成されます 。
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これらが核となり、唾液中の有機物(細胞片・細菌・ムコ多糖)を巻き込んで大きく成長していきます 。
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生活習慣・脱水・口腔内環境の影響
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脱水状態(水分摂取不足・発熱・発汗など)は唾液を粘稠化させ、石形成のリスクを高めます 。
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薬剤(利尿剤、抗コリン薬など)は唾液量を減少させ、石形成リスクを上昇 。
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喫煙・アルコール・肥満などの生活習慣も、慢性炎症や口腔内環境悪化を通じてリスクとなり得ることが示唆されています 。
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✅ 3. 唾石症の主な症状|初期症状から悪化した場合まで

食事時の痛み・腫れ(ミールタイム症候群)
食事や酸っぱい食べ物によって唾液分泌が増し、導管が閉塞され痛みと腫れが急激に現れる典型的症状です 。
痛みは数時間続き、その後自然に緩和します。
患部の触知・視診結果
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小さい結石は黙っていることもありますが、導管の末端近くであれば口腔内から硬いしこりを触れることもあります 。
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重度の場合は触診で腺の腫れや圧痛も確認されます。
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感染伴う症状(膿・発熱)
長期閉塞が続くと唾液腺炎となり、発熱、赤み、顔面や頸部の腫れ、膿の排出を伴うこともあります 。
✅ 4. 放置するとどうなる?|重症化のリスクと合併症
慢性炎症と唾液腺炎
反復閉塞が続くと慢性唾液腺炎となり、持続的な腫れ・痛み・組織の硬化が進行します 。
膿瘍・細菌感染の可能性
唾石が感染原因となり、顔面・頸部への炎症波及や膿瘍形成、免疫低下者における重症化の恐れがあります 。
石の巨大化による機能低下
石が数cmまで成長すると自然排出は望めず、唾液分泌障害や慢性炎症を併発し、唾液腺摘出の可能性も高まります 。
✅ 5. 唾石症はがんになるのか?|誤解されがちなリスクを正しく知る
唾石症とがん(唾液腺がん)の関係
現在の医学文献では、唾石症そのものが悪性腫瘍(がん)に進展する直接的なエビデンスはありません。良性疾患として分類されています 。
放置によるがん化の可能性?
慢性炎症が発がんリスク因子になる可能性を指摘する理論もありますが、唾石症単独でがん化する報告は確認されていません。とはいえ、異常な増大や硬さがあれば専門診断が必要です。
✅ 6. 唾石症の検査方法|早期発見のためにできること

視診・触診による初期診断
口腔内・顔面からの**所見(硬いしこり・腺の腫れ・圧痛)**で疑いを持ちます 。
画像診断の活用
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超音波(エコー):非侵襲で感度60〜95%、特異度85〜100% 。
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CT/X線:唾石の90%以上が放射線不透過性で可視化が可能 。
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MRI/Sialography:非イオン化、かつ高精度な画像診断に有効 。
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どの診療科に行くべき?
初期段階なら耳鼻咽喉科、手術や専門的処置が必要な場合は**口腔外科(歯科口腔外科)**を受診するのが適切です。
✅ 7. 唾石症の治療方法|自然排出から手術までの選択肢
(1)セルフケア・保存的治療
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水分を多く摂る・酸味食品を摂取(レモン・梅干し)で唾液分泌を促し自然排出を助けます 。
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温湿布+マッサージによる導管の開通促進も有効です 。
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**NSAIDsや抗生剤(感染時)**によって痛みや炎症を和らげます 。
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(2)低侵襲処置:サイアロエンドスコピー(内視鏡)
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内視鏡を使って結石を視認し取り出す方法では、出血や切開を最小限に抑えられ、短時間の日帰り処置で30分程度、小さな石なら局所麻酔で可能 。
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(3)内視鏡下破砕(レーザー・機械的)
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ホルミウム・エルビウムレーザーや機械的器具により石を細断し、安全に除去します 。
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(4)開放・切開手術
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口腔内切開や首からの外科的摘出が選択される場合がありますが、移植リスク(神経損傷等)を回避し、できる限り内視鏡処置が第一選択となります 。
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✅ 8. 唾石症を予防するための生活習慣
水分摂取と口腔ケア
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1日1.5〜2リットルの水分補給と、こまめなうがい・歯磨きで唾液の粘度をコントロール。
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脱水のリスクが高い運動・飲酒後は補水を忘れずに。
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唾液分泌促進の習慣化
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レモンキャンディや酸っぱいおやつで唾液を促進。
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よく咀嚼する習慣を身につける。
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顎下・頬部マッサージで導管の流れをサポート。
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飲食習慣の見直し
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カフェイン・アルコール・高塩分食品は摂りすぎに注意。
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バランスの良い食事+ミネラル補給(カルシウム・マグネシウム)で水分代謝を整えます。
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✅ 9. まとめ|唾石症は早期発見と正しい対応が重要

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唾石症は良性疾患ですが、放置すれば慢性炎症や感染、手術に至ることもあります。
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症状としては**ミールタイム症候群の痛みと腫れ、押すと硬しこり、感染兆候(発熱・膿)**があれば要注意。
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画像診断を活用し、早期に耳鼻咽喉科または口腔外科を受診。
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セルフケア(補水・唾液促進・マッサージ)から、内視鏡処置、手術まで多彩な治療選択肢があり、早期治療で身体への負担を最小化できます。
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再発防止には生活習慣の見直しと口腔ケアの徹底が鍵。定期的なセルフチェックで健康維持を心がけましょう。
口腔外科・口腔癌のことなら、名古屋市天白区の歯医者・歯科・口腔外科・口腔癌診断のイナグマ歯科までご相談ください。
監修 岡山大学 歯学博士 厚生労働省認定 歯科医師臨床研修医指導医 稲熊尚広
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