口の中の白斑・潰瘍は尋常性乾癬かも?症状の見分け方・原因・治療法・まとめ

名古屋市天白区の歯医者・歯科・口腔外科「イナグマ歯科」です。
「舌に白い斑点ができている」「口の中がヒリヒリ痛む」「なかなか治らないびらんがある」——そんな症状に心当たりはありませんか?
もしかすると、それは尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)による口腔内の病変かもしれません。
乾癬といえば通常、皮膚に現れる赤い発疹やフケ状の鱗屑(りんせつ)を想像する方が多いかもしれませんが、実はごく稀に口の中(口腔粘膜)にも乾癬が生じることがあります。この状態は「口腔乾癬」と呼ばれ、国内外でも症例が少なく、専門的な診断を要する疾患です。
特に以下のようなワードで不安を感じて調べている方が増えています:
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「口の中に白い斑点があるけど、もしかして乾癬?」
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「口腔乾癬って薬で治るの?」
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「皮膚の乾癬と関係あるの?」
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「他の病気との見分け方は?」
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「何科に行けばいい?」
本記事では、歯科・口腔外科の視点から、口腔内にできる尋常性乾癬の見分け方・原因・治療法・他の疾患との違いまでを、専門的にかつわかりやすく解説していきます。さらに、歯科と皮膚科の連携がなぜ重要なのか、どのタイミングで医療機関を受診すべきかについてもお伝えします。
「口の中に気になる症状があるけど、何かわからない」と不安を抱えている方は、ぜひ最後までご覧ください。早期発見と適切な診療が、症状の改善と生活の質(QOL)の向上に直結します。
【目次】
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尋常性乾癬とは?基本的な症状と特徴
・皮膚にできる乾癬と口腔内乾癬の違い
・口腔乾癬は珍しい?その頻度と報告例 -
口腔内にできる尋常性乾癬の症状とは
・よくある症状:白斑・びらん・潰瘍
・他の疾患(白板症・カンジダ症・扁平苔癬)との見分け方
・自己診断が難しい理由 -
尋常性乾癬が口の中にできる原因と発症のきっかけ
・免疫異常と遺伝的要因
・ストレスや感染症との関連
・口腔ケアとの関係 -
口腔乾癬は薬で治る?治療法と処方薬について
・ステロイド軟膏や内服薬の効果
・免疫抑制薬・生物学的製剤の適用範囲
・歯科での対応と皮膚科・口腔外科の連携 -
放置するとどうなる?口腔乾癬のリスクと注意点
・慢性化による炎症リスク
・食事や会話への影響
・他の病気との併発リスク -
医療機関を受診するタイミングと診断の流れ
・どの診療科を受診すべきか?(歯科・皮膚科・耳鼻咽喉科など)
・診断に必要な検査(病理検査・血液検査) -
よくあるQ&A|口腔乾癬の疑問を解決!
・「口の中に白い斑点があるけど乾癬?」
・「口腔乾癬は人にうつる?」
・「治るまでどれくらいかかる?」 -
まとめ|早期発見・適切な治療が鍵!
尋常性乾癬とは?基本的な症状と特徴
尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん、Psoriasis vulgaris)は、慢性的な炎症性皮膚疾患で、角化異常をともなう紅斑や鱗屑(りんせつ:フケ状の皮膚)を生じるのが特徴です。日本における有病率は人口の約0.1〜0.3%とされていますが、近年はライフスタイルの欧米化などを背景に増加傾向にあります。
皮膚にできる乾癬と口腔内乾癬の違い
乾癬といえば通常は皮膚にできるものを指しますが、ごく稀に口腔粘膜にも病変が現れることがあります。皮膚乾癬では、主に頭皮、肘、膝、背中などに鱗屑を伴う赤い発疹が現れます。一方、口腔乾癬では、舌、頬粘膜、口蓋などにびらんや白斑、潰瘍様の病変がみられることがあります。皮膚乾癬の延長線上として口腔病変が出現することがあるとされ、口腔内の乾癬性病変は診断が難しく、見過ごされがちです。
口腔乾癬は珍しい?その頻度と報告例
口腔乾癬は非常に稀であり、国内外でも症例報告は限られています。発症頻度は不明ですが、皮膚乾癬患者のうち、口腔病変を伴うのは0.5〜2%程度とする報告もあります。海外では、舌に地図状舌様の病変がみられた症例、歯肉にびらんが生じた症例などが学会報告されています。日本国内でも、皮膚乾癬患者が歯科受診時に偶然発見されるケースがあり、医科歯科連携の重要性が高まっています。
口腔内にできる尋常性乾癬の症状とは
口腔乾癬の症状は多岐にわたり、見た目の多様性と類似疾患の存在により診断が困難です。
よくある症状:白斑・びらん・潰瘍
口腔乾癬では以下のような病変が現れることがあります:
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白斑(ホワイトパッチ):舌や頬の粘膜に白く盛り上がった部分が見られることがある
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びらん:粘膜表面の上皮が欠損し、赤くただれた状態
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潰瘍:深くえぐれた病変で、痛みやしみを伴うことがある
症状は慢性で再発を繰り返すことがあり、皮膚症状と相関して変動することも報告されています。
他の疾患(白板症・カンジダ症・扁平苔癬)との見分け方
口腔乾癬の鑑別診断では、以下の疾患と区別する必要があります:
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白板症:白色斑として現れ、前癌病変の可能性もある。病理検査が必須。
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口腔カンジダ症:真菌感染による白苔状の斑点で、抗真菌薬が効果的。
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口腔扁平苔癬:レース状または網目状の白色線条が特徴。自己免疫疾患との関連が指摘されている。
これらとの見極めには、病理組織学的検査や菌検査が不可欠です。
自己診断が難しい理由
見た目が他の疾患と酷似しているうえ、痛みやかゆみが軽度である場合もあり、患者自身で乾癬だと判断するのは困難です。また、歯科医でも皮膚症状がなければ口腔乾癬と気づきにくいため、医療機関での適切な鑑別が求められます。
尋常性乾癬が口の中にできる原因と発症のきっかけ
口腔乾癬の正確な原因は解明されていませんが、皮膚乾癬と同様に多因子性の疾患とされています。
免疫異常と遺伝的要因
乾癬の発症には、T細胞を中心とした免疫異常が関与しています。炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-17など)が異常に活性化され、角化細胞の増殖を促進します。また、HLA-Cw6などの遺伝的素因も関係しているとされています。
ストレスや感染症との関連
乾癬はストレスによって増悪することが多く、口腔乾癬の発症トリガーとしても精神的ストレスが報告されています。さらに、扁桃炎などの細菌・ウイルス感染や外傷も誘因となる可能性があります。
口腔ケアとの関係
口腔内の慢性的な刺激や不衛生な状態が、口腔乾癬の発症や悪化に関与している可能性があります。特に義歯の不適合、過度な歯磨き、口内炎の繰り返しなどが誘因となるケースも見受けられます。
口腔乾癬は薬で治る?治療法と処方薬について
現在、口腔乾癬に対する特異的な治療法は確立されていませんが、症状のコントロールを目的とした薬物療法が中心となります。
ステロイド軟膏や内服薬の効果
軽度〜中等度の症例では、以下の治療法が用いられます:
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トリアムシノロンアセトニドなどのステロイド含有軟膏を口腔粘膜に塗布
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重症例ではプレドニゾロンなどの内服ステロイド
粘膜に使用する場合は副作用の管理が重要です。
免疫抑制薬・生物学的製剤の適用範囲
全身症状を伴う重症例では、以下のような治療が行われます:
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シクロスポリンなどの免疫抑制薬
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**TNF-α阻害薬(インフリキシマブなど)やIL-17阻害薬(セクキヌマブ)**などの生物学的製剤(バイオ治療薬)
これらは皮膚科で管理されることが多く、歯科との情報共有が不可欠です。
歯科での対応と皮膚科・口腔外科の連携
口腔乾癬の診断・治療には、歯科・口腔外科と皮膚科の連携が重要です。歯科では病変の観察・初期対応、皮膚科では全身管理と薬物治療を担当する体制が望まれます。
放置するとどうなる?口腔乾癬のリスクと注意点
慢性化による炎症リスク
治療せずに放置すると、口腔粘膜のびらん・潰瘍が慢性化し、二次感染や強い痛みを引き起こす恐れがあります。さらに、食事や会話に支障をきたすこともあります。
食事や会話への影響
口内のびらんが痛みを伴う場合、熱いものや刺激物が摂取しづらくなるほか、口を大きく開けることが困難になることもあり、生活の質(QOL)を大きく損ないます。
他の病気との併発リスク
乾癬患者では、心血管疾患、糖尿病、関節炎などの合併症リスクが高まることが知られており、口腔乾癬もその全身性炎症の一部と考えられています。
医療機関を受診するタイミングと診断の流れ
どの診療科を受診すべきか?
口腔内の異変に気づいた場合、まずは歯科または口腔外科の受診が推奨されます。皮膚に乾癬がある場合や既往歴がある場合は、皮膚科との連携診療が重要です。
診断に必要な検査
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視診・触診:粘膜病変の形状・広がり・痛みの有無を確認
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病理組織検査:粘膜からの生検で角化異常や炎症細胞の所見を確認
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血液検査:自己免疫性疾患との関連や感染症の有無をチェック
よくあるQ&A|口腔乾癬の疑問を解決!
Q1:「口の中に白い斑点があるけど乾癬?」
A:白板症やカンジダ症、扁平苔癬など他の疾患の可能性もあるため、専門医による診断が不可欠です。
Q2:「口腔乾癬は人にうつる?」
A:乾癬は感染性の疾患ではなく、他人にうつることはありません。安心して日常生活を送れます。
Q3:「治るまでどれくらいかかる?」
A:症状や治療方法によって異なりますが、慢性的な疾患であるため、再発を防ぐための継続的な管理が必要です。
まとめ|早期発見・適切な治療が鍵!
口腔乾癬は稀ではありますが、見逃すと生活に支障をきたす可能性がある疾患です。皮膚乾癬との関連を意識し、症状に気づいた段階で医療機関を受診することが重要です。歯科・口腔外科と皮膚科の連携によって、早期診断・適切な治療が可能になります。自己判断せず、専門医の診察を受けることが健康維持への第一歩です。
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監修 岡山大学 歯学博士 厚生労働省認定 歯科医師臨床研修医指導医 稲熊尚広
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