70代女性「舌の右下が膨らんでいる」―舌の下の石の正体は?唾石症を唾石摘出術で改善した症例
はじめに|「舌の下が腫れている」「口の中に硬いものがある」と感じたら
名古屋市天白区にある歯医者・歯科・歯科口腔外科・唾石症治療のイナグマ歯科です。院長 岡山大学 歯学博士 厚生労働省認定 歯科医師臨床研修医指導医 稲熊尚広
「舌の右下が膨らんでいる気がする」
「舌の裏にコリコリとした硬いものが触れる」
このような症状で来院される方は少なくありません。特に70代以降の女性では、加齢や唾液分泌量の変化により、**唾石症(だせきしょう)**を発症するケースがみられます。
本記事では、実際に「舌の右下の膨らみ」を主訴に来院された70代女性の症例をもとに、
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唾石症とはどんな病気か
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ガマ腫との違い
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CTによる診断のポイント
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唾石摘出術の流れとリスク
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治療期間・費用の目安
について、詳しく解説します。
ご相談内容|「舌の右下が膨らんでいる」
70代女性の患者様が、
「舌の右下が膨らんでいる」
とのことで来院されました。
痛みは強くないものの、違和感が持続しており、「触ると硬いものがある」とのことでした。
カウンセリング・診断結果|舌の下の膨らみの原因は?
口腔内の所見
診察の結果、舌の下の粘膜である**口腔底(こうくうてい)**に膨らみを確認しました。
特に、舌の中央にあるヒダ「舌小帯(ぜつしょうたい)」の右側に腫隆が認められました。
考えられる疾患は2つ
舌の下の膨らみの原因として、主に次の2つが考えられます。
① 唾石症(だせきしょう)
唾液腺や唾液の通り道(唾液管)に石のような硬い塊ができる疾患。
② ガマ腫
唾液が排出されずに溜まり、風船のように腫れる病気。
触診で硬さがあることから、唾石症の可能性が高いと考え、CT検査を実施しました。
CT画像で判明した「白い丸い影」

CT画像を確認したところ、下あごの内側に**丸く白い像(高吸収域)**を確認しました。
これは石灰化した物質、つまり唾石の典型的な画像所見です。
そのため、本症例は
👉 唾石症(舌下部の唾石2つ)
と診断しました。
唾石症とは?原因と症状を解説
唾石症とは
唾石症とは、唾液腺や唾液管の中にカルシウム成分などが沈着し、石のような塊(唾石)ができる疾患です。
特に発症しやすいのは、顎の下にある「顎下腺(がくかせん)」です。
主な症状
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舌の下の腫れ
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硬いしこりを触れる
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食事中の痛み(唾仙痛)
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繰り返す腫れ
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感染による顔の腫脹
唾仙痛(だせんつう)とは?
食事をすると唾液の分泌が増えますが、唾石があると唾液がうまく流れません。
その結果、唾液腺が腫れて痛みが出ます。これを唾仙痛といいます。
治療方法|唾石摘出術とは?
自然排出することもある?
小さい唾石であれば、自然に口の中へ排出されることもあります。
しかし、
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痛みを繰り返す
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感染リスクがある
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大きさが明らかに大きい
場合には、外科的摘出が推奨されます。
今回行った治療|唾石摘出術
患者様と十分に相談のうえ、唾石を取り出す
「唾石摘出術」
を実施しました。
手術の流れ
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局所麻酔
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口腔底粘膜を慎重に切開
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唾石を確認
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周囲組織を傷つけないよう丁寧に摘出
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洗浄・縫合
特に舌の下には神経や血管が多く存在するため、細心の注意を払って慎重に処置を行いました。
治療後の経過
術後は一時的な腫れや違和感がありましたが、
経過は良好で、舌の下の膨らみは改善しました。
患者様も
「違和感がなくなった」
と安心された様子でした。
唾石摘出術のリスク・副作用
外科処置である以上、一定のリスクはあります。
主なリスク
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口腔底粘膜の損傷
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嚥下痛(飲み込む時の痛み)
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術後の腫れ
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出血
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感染
ただし、適切な術式と術後管理により、多くは一時的な症状で改善します。
治療概要(本症例)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 年齢・性別 | 70代女性 |
| 診療種別 | 保険診療 |
| 治療期間の目安 | 約2ヶ月 |
| 治療費総額の目安 | 約20,000円 |
※症状や保険負担割合により異なります。
唾石症を放置するとどうなる?
唾石症を放置すると、
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感染を繰り返す
-
顔が腫れる
-
強い痛み
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唾液腺炎
-
まれに膿瘍形成
などのリスクがあります。
特に高齢者では、免疫力の低下により炎症が長引く可能性があるため、早期受診が重要です。
舌の下の腫れで考えられるその他の病気
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ガマ腫
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唾液腺炎
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粘液嚢胞
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良性腫瘍
-
悪性腫瘍(まれ)
自己判断せず、口腔外科や歯科での診察をおすすめします。
こんな症状があれば受診を
✔ 舌の下に硬いしこりがある
✔ 食事中に顎の下が痛む
✔ 腫れが繰り返す
✔ 口の中に違和感が続く
これらは唾石症の可能性があります。
よくある質問(FAQ)|唾石症・唾石摘出術について
Q1. 舌の下が膨らんでいます。これは唾石症の可能性がありますか?
舌の下に硬いしこりやコリコリとした石のような感触がある場合、**唾石症(だせきしょう)**の可能性があります。特に、
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食事中に顎の下が痛む(唾仙痛)
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腫れが繰り返す
-
押すと違和感がある
といった症状がある場合は要注意です。
ただし、舌の下の腫れにはガマ腫(唾液嚢胞)や粘液嚢胞、唾液腺炎など他の疾患も考えられます。正確な診断にはCTやエコー検査が有効です。
自己判断せず、口腔外科を受診しましょう。
Q2. 唾石症は自然に治りますか?放置しても大丈夫ですか?
小さな唾石であれば、自然に口の中へ排出されることもあります。
しかし、放置すると以下のリスクがあります。
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食事のたびに痛みが出る(唾仙痛)
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細菌感染による腫れや発熱
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顔全体の腫脹
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唾液腺炎の悪化
特に高齢者では炎症が長引くこともあるため、繰り返す腫れや痛みがある場合は早期治療が推奨されます。
Q3. 唾石摘出術は痛いですか?手術時間はどれくらいですか?
唾石摘出術は局所麻酔で行うため、手術中の強い痛みはほとんどありません。
手術時間は唾石の大きさや位置によりますが、一般的には30分〜60分程度で終了します。
術後は、
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軽度の腫れ
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飲み込むときの痛み(嚥下痛)
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違和感
が一時的に出ることがありますが、多くは数日〜1週間程度で改善します。
Q4. 唾石摘出術の費用はいくらかかりますか?保険は使えますか?
唾石摘出術は保険診療の対象です。
3割負担の場合の目安は、
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約15,000円〜25,000円前後
※検査内容や処置範囲により変動します。
高額な自由診療になるケースは一般的ではありませんので、まずは保険診療で相談可能です。
Q5. 唾石症は再発しますか?予防方法はありますか?
唾石症は体質や唾液の性質により再発する可能性があります。
予防のために重要なのは、
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こまめな水分補給
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唾液の分泌を促す(よく噛む)
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口腔内を清潔に保つ
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定期的な歯科検診
特に高齢になると唾液量が減少しやすいため、口腔ケアと水分摂取の習慣化が重要です。
まとめ|舌の下の膨らみは唾石症の可能性も
今回の症例では、
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舌の右下の膨らみ
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CTで確認された石灰化像
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唾石摘出術による改善
という経過をたどりました。
唾石症は適切な診断と処置により改善が期待できる疾患です。
「舌の下が腫れている」「硬いものが触れる」などの症状がある場合は、早めの受診をおすすめします。
※本記事は一症例の紹介であり、治療効果を保証するものではありません。
症状には個人差があり、診断・治療は医師の判断に基づき行われます。
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