顎関節症のよくある質問|症状・原因・治療・受診の目安を詳しく解説
「口を開けると顎がカクカクする」「食事をすると顎が痛い」「以前より口が開きにくくなった」「朝起きると顎が疲れている」。
このような症状がある場合、顎関節症(がくかんせつしょう)の可能性があります。
顎関節症は、顎の関節だけに問題がある病気ではありません。顎を動かす筋肉や関節、関節の中にある組織などに関係する、さまざまな状態を含む病名です。
日本顎関節学会では、代表的な症状として「顎が痛む」「口が開かない」「顎を動かすと音がする」の3つを挙げています。
ここでは、顎関節症について患者さんからよくいただく質問に、できるだけわかりやすくお答えします。
顎関節症とは何ですか?
顎関節症とは、顎の関節や顎を動かす筋肉などに痛みや動きの異常が生じる状態の総称です。
代表的な症状には、
- 顎やこめかみ、耳の前などが痛い
- 口を大きく開けにくい
- 口を開けたり閉じたりすると顎がカクカク、パキパキ、ジャリジャリする
- 食事や会話、あくびをすると顎が痛い
- 顎が動かしにくい
- 噛むと顎が疲れる
などがあります。
顎関節症には、顎を動かす筋肉の痛みを主とするもの、顎関節の痛みを主とするもの、関節円板の動きに問題が生じるもの、顎関節の骨に変化が生じるものなど、複数の病態があります。
そのため、「顎から音がする=必ず顎関節症」というわけではありません。
症状の内容や顎の動きなどを確認し、必要に応じて画像検査などを行い、ほかの病気との鑑別をしたうえで診断します。
Q1.顎が「カクカク」「パキパキ」と鳴ります。顎関節症ですか?
顎から音がするだけでは、顎関節症と決めつけることはできません。
口を開け閉めしたときに、
- カクッと音がする
- パキッと音がする
- ポキポキする
- ジャリジャリする
- ゴリゴリする
などの音がすることがあります。
顎関節の音にはさまざまな原因があり、痛みや口の開けにくさを伴っているかどうかも重要です。
例えば、音はするものの痛みがなく、口も問題なく開けられる場合があります。一方で、音に加えて顎の痛みや開口障害がある場合には、診察が必要になることがあります。
「音がするからすぐ治療しなければならない」とは限りません。
気になる場合には、顎の動きや痛みの有無を歯科医院で確認してもらうとよいでしょう。
Q2.口を開けると顎が痛いのは顎関節症ですか?
顎関節症の代表的な症状の一つに、顎関節や咀嚼筋の痛みがあります。
特に、
- 口を開けると痛い
- 食べ物を噛むと痛い
- あくびをすると痛い
- 硬いものを食べると顎が痛い
- 顎を左右に動かすと痛い
といった症状がある場合は、顎関節や咀嚼筋に負担がかかっている可能性があります。
ただし、顎の痛みには顎関節症以外にもさまざまな原因があります。
そのため、痛みが続く場合や強くなっている場合には、自己判断せず歯科医院で診察を受けることをおすすめします。
Q3.口が開きにくいのですが、顎関節症でしょうか?
口が開きにくくなる「開口障害」は、顎関節症の代表的な症状の一つです。
以前は問題なく開けられていたのに、
- 急に口が開けにくくなった
- 大きな食べ物を口に入れにくい
- 歯磨きがしにくい
- あくびがしにくい
- 口を開けようとすると痛い
といった症状がある場合には、一度診察を受けることをおすすめします。
特に、急に口が開かなくなった場合や、痛みを伴っている場合には、顎関節症以外の原因が隠れている可能性もあるため、放置しないことが大切です。
Q4.顎関節症の原因は何ですか?
顎関節症は、一つの原因だけで発症するとは限りません。
現在は、複数の要因が重なって発症したり、症状が悪化したりすると考えられています。
例えば、
- 歯ぎしり
- 食いしばり
- 上下の歯を接触させる癖
- ガムなどを長時間噛む習慣
- 硬いものを長時間噛む
- 頬杖
- 猫背などの姿勢
- 顎に負担がかかる生活習慣
- 精神的な緊張やストレス
- 外傷
- 顎関節や咀嚼筋の状態
などが関係する場合があります。
ただし、「歯並びや噛み合わせだけが顎関節症の原因」と単純に考えることはできません。
顎関節症は多因子性の病気であり、患者さんによって関係する要因も異なります。
Q5.歯ぎしりや食いしばりで顎関節症になりますか?
歯ぎしりや食いしばりなど、顎に大きな力がかかる習慣は、顎関節や咀嚼筋への負担につながることがあります。
特に、
- 朝起きたときに顎が疲れている
- こめかみが痛い
- 頬の筋肉が張っている
- 歯ぎしりを家族から指摘された
- 日中、無意識に歯を食いしばっている
- 集中していると上下の歯が接触している
という方は、顎への負担を減らすことが大切です。
日中に上下の歯が接触していることに気づいたら、意識して歯を離し、顎の力を抜くようにしましょう。
Q6.ストレスが原因で顎関節症になることはありますか?
精神的な緊張やストレスは、顎関節症の症状に関係することがあります。
ストレスが強いと、無意識に歯を食いしばったり、顎に力を入れたりすることがあります。
また、痛みは身体的な要因だけでなく、心理的・社会的な要因など、さまざまな要素が関係する場合があります。
そのため、顎関節症の治療では顎そのものだけを見るのではなく、日常生活や習慣なども含めて考えることが重要です。
Q7.顎関節症は放っておいても治りますか?
顎関節症の中には、症状が自然に改善するものもあります。
日本顎関節学会も、一時的な顎や筋肉の痛みであれば自然に改善する場合があると説明しています。
ただし、顎関節症にはさまざまな病態が含まれており、顎関節症以外の病気が原因で「顎が痛い」「口が開かない」といった症状が出ることもあります。
そのため、
- 痛みが長く続いている
- 徐々に症状が悪化している
- 口が開けにくくなってきた
- 食事がしづらい
- 顎が外れそう、または外れたことがある
- 日常生活に支障が出ている
といった場合には、歯科医院で診察を受けることをおすすめします。
Q8.顎関節症は何科を受診すればいいですか?
まずは、歯科医院で相談することをおすすめします。
顎関節症では、問診、顎の動きの確認、顎関節や咀嚼筋の状態の確認などを行います。
必要に応じてレントゲンなどの画像検査を行い、さらに詳しい検査が必要な場合にはMRIなどが検討されることもあります。
症状によっては、顎関節症以外の病気との鑑別が必要になることもあります。
専門的な診察や検査が必要と判断された場合には、専門医療機関や大学病院などへの紹介が行われることもあります。
Q9.顎関節症の検査では何をしますか?
症状によって異なりますが、一般的には次のような確認を行います。
問診
- いつから症状があるか
- どこが痛むか
- どのようなときに痛むか
- 顎から音がするか
- 口が開けにくいか
- 歯ぎしりや食いしばりがあるか
- 日常生活でどのような癖があるか
などを確認します。
顎の動きの検査
口を開けたり閉じたりしてもらい、顎の動きや開けにくさ、左右への動きなどを確認します。
顎関節・咀嚼筋の検査
顎関節や顎を動かす筋肉を確認し、痛みの場所や状態を調べます。
画像検査
必要に応じてレントゲンなどを使用します。
さらに詳しい情報が必要な場合には、MRIなどの検査が検討されることもあります。
顎関節症は症状だけで判断するのではなく、似た症状を起こすほかの病気を除外しながら診断することが重要です。
Q10.顎関節症はどのように治療しますか?
顎関節症の治療は、症状や病態に応じて選択します。
基本的には、顎関節や咀嚼筋への負担を減らすことから始めることが多く、
- 生活習慣の見直し
- 顎に負担をかける癖の改善
- 食事内容や噛み方の工夫
- 開口訓練などの運動療法
- 物理療法
- 必要に応じた薬物療法
- スプリント(マウスピース)など
が検討されます。
日本顎関節学会の診療ガイドラインでも、顎関節症の初期治療について、保存的・可逆的な治療を中心とした考え方が示されています。
症状によって治療方法は異なるため、「顎関節症だから必ずこの治療」というものではありません。
Q11.顎関節症にはマウスピースを使いますか?
症状や病態によっては、スプリント(マウスピース)を使用する治療が検討されることがあります。
マウスピースによって顎関節や咀嚼筋への負担を軽減することを目的とします。
ただし、すべての顎関節症にマウスピースが必要というわけではありません。
また、市販品を自己判断で使用するのではなく、症状を確認したうえで歯科医師に相談することをおすすめします。
Q12.顎関節症なら、噛み合わせを治したほうがいいですか?
顎関節症だからといって、すぐに歯を削ったり、被せ物を変更したり、矯正治療を行ったりする必要があるとは限りません。
顎関節症では、症状や原因を十分に確認したうえで治療方法を選択することが大切です。
特に、歯を削るなど元の状態に戻せない治療を行う場合には、慎重な判断が必要です。
まずは顎関節や咀嚼筋の状態、生活習慣、症状の経過などを確認し、必要な治療を検討します。
Q13.顎関節症のとき、硬いものを食べても大丈夫ですか?
顎に痛みがある時期は、硬い食品や長時間の咀嚼を控え、顎にかかる負担を減らすことがすすめられます。
例えば、
- 硬い肉
- 硬いせんべい
- ガム
- 長時間噛み続ける食品
などを頻繁に摂取すると、顎への負担が増える可能性があります。
症状があるときは、食べやすいものを選び、無理に大きく口を開けたり、長時間噛み続けたりしないようにしましょう。
Q14.顎関節症のときに気をつける生活習慣はありますか?
顎関節症では、日常生活の中で顎にかかる負担を減らすことが大切です。
「歯を食いしばらない」
仕事中やスマートフォンを見ているときなど、無意識に上下の歯を接触させていないか確認してみましょう。
「頬杖をつかない」
頬杖は顎に負担をかける姿勢の一つです。
「猫背を避ける」
姿勢と顎の動きには関連があるため、日頃から姿勢を意識することも大切です。
「硬いものを長時間噛まない」
顎に痛みがあるときは、顎を休ませることを意識しましょう。
「大きく口を開けすぎない」
あくびや食事などで、無理に大きく口を開けないようにしましょう。
こうしたセルフケアだけで症状が改善する場合もありますが、症状が続く場合には歯科医院での診察をおすすめします。
Q15.顎関節症は女性に多いですか?
顎関節症は幅広い年齢層でみられます。
性別や年齢だけで判断できる病気ではなく、症状や生活習慣、顎関節・咀嚼筋の状態などを総合的に確認する必要があります。
「若いから顎関節症ではない」「年齢が高いから顎関節症だろう」と自己判断することは避けましょう。
Q16.顎関節症で頭痛や肩こりが起こることはありますか?
顎関節症では、顎を動かす筋肉の緊張や痛みが、こめかみなどの周辺に症状として現れることがあります。
ただし、頭痛や肩こりには顎関節症以外にもさまざまな原因があります。
そのため、「頭痛がある=顎関節症」とは限りません。
顎の痛みや開口障害、顎の音などと同時に症状が出ている場合は、一度歯科医院で相談してみるとよいでしょう。
Q17.顎関節症で耳が痛くなることはありますか?
顎関節は耳の近くにあるため、顎関節周辺の症状を「耳のあたりが痛い」と感じることがあります。
一方で、耳の病気など、顎関節症以外の原因が隠れている可能性もあります。
耳の痛みや耳鳴り、聞こえにくさなどがある場合には、症状に応じて耳鼻咽喉科などへの相談が必要になることもあります。
Q18.顎関節症は治りますか?
顎関節症は一つの病気だけではなく、さまざまな病態を含むため、経過も人によって異なります。
症状が自然に改善するケースもあれば、治療や生活習慣の改善が必要なケースもあります。
大切なのは、症状だけを抑えるのではなく、
- どのような症状なのか
- 顎関節と筋肉のどちらに問題があるのか
- 顎に負担をかける習慣がないか
- ほかの病気が隠れていないか
などを確認し、その方に合った対応を考えることです。
Q19.顎関節症は何日くらいで治りますか?
症状の種類や程度、原因、生活習慣などによって異なるため、「何日で治る」と一概にはいえません。
軽い一時的な痛みで自然に改善する場合もありますが、症状が長く続く場合や、繰り返す場合もあります。
「しばらく様子を見ていたけれど改善しない」という場合には、一度診察を受けることをおすすめします。
Q20.顎関節症は予防できますか?
顎関節症を完全に予防できるとは限りませんが、顎への負担を減らすことは大切です。
日頃から、
- 食いしばりに気づいたら力を抜く
- 上下の歯を必要以上に接触させない
- ガムを長時間噛み続けない
- 頬杖をやめる
- 姿勢を意識する
- 顎が痛いときは硬いものを控える
- 大きく口を開けすぎない
などを心がけましょう。
Q21.顎が外れたことがあります。顎関節症ですか?
顎が外れる、つまり顎関節が脱臼する状態は、顎関節症の一般的な症状とは区別して考える必要があります。
口を大きく開けたときに顎が外れて戻らない場合などは、無理に自分で戻そうとせず、医療機関を受診してください。
また、顎が何度も外れる場合には、再発を防ぐための診察・治療が必要になることがあります。
Q22.顎関節症で病院に行くべき症状は?
次のような症状がある場合には、一度歯科医院で相談することをおすすめします。
- 顎の痛みが続いている
- 食事をすると顎が痛い
- 口が開きにくい
- 以前より口が開かなくなった
- 顎から音がするうえに痛みがある
- 顎が動かしにくい
- 顎の症状によって食事や会話に支障がある
- 症状が繰り返している
- 市販薬などを使用しても改善しない
- 顎が外れたことがある
特に、急に口が開かなくなった、強い痛みがある、腫れや発熱などを伴う場合には、顎関節症以外の病気の可能性も考える必要がありますので、早めに医療機関へご相談ください。
Q23.顎関節症は自分で治せますか?
軽い症状であれば、顎への負担を減らすことで改善することがあります。
例えば、
- 食いしばりを意識してやめる
- 上下の歯を離して顎をリラックスさせる
- 硬いものを控える
- ガムを控える
- 頬杖をやめる
- 大きく口を開けすぎない
- 姿勢を見直す
などです。
ただし、自己判断だけで長期間様子を見ることはおすすめできません。
顎関節症と似た症状を起こす病気もあるため、症状が続く場合や悪化する場合には歯科医院で確認しましょう。
顎関節症でお悩みの方へ
顎関節症は、「顎が痛い」「口が開かない」「顎から音がする」といった症状だけでなく、顎を動かす筋肉や生活習慣など、さまざまな要素が関係することがあります。
そのため、症状だけを見て治療方法を決めるのではなく、現在どのような症状があるのか、いつから症状があるのか、顎にどのような負担がかかっているのかを確認することが大切です。
「顎の音が気になるけれど、受診したほうがいいのかわからない」
「口が以前より開きにくくなった」
「食事をすると顎が痛い」
「歯ぎしりや食いしばりが気になる」
「顎関節症かもしれないけれど、どこに相談すればいいかわからない」
という方は、お気軽にご相談ください。
当院では、患者さんのお話を丁寧に伺い、顎関節や咀嚼筋の状態などを確認したうえで、必要な検査・治療についてご説明します。
症状によっては専門的な検査や治療が必要となる場合もありますので、その際には適切な医療機関との連携も検討します。
名古屋市天白区で顎関節症についてお悩みの方へ
院長:稲熊 尚広
岡山大学 歯学博士
厚生労働省認定 歯科医師臨床研修医指導医
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TEL:052-806-1181
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※顎の症状には顎関節症以外の病気が原因となっている場合があります。症状や検査結果によって、必要な治療や対応は異なります。
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監修 岡山大学 歯学博士 厚生労働省認定 歯科医師臨床研修医指導医 稲熊尚広 -
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